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導入事例 大和ライフネクスト株式会社

AI事例インタビュー「AIで業界を変える」 大和ライフネクスト株式会社 代表取締役社長 石﨑 順子 氏

大和ライフネクスト株式会社は、全国で25万戸超の分譲マンション管理を中心に様々な建物管理サービスを提供する、業界トップクラスの企業である。同社には弊社の情報共有サービス『ナレッジリング』のカスタマイズ版を長年ご利用いただいているが、社内ナレッジ共有における累積的な課題を解決するため、このたび『IBM Watson日本語版(以下、Watson)』の導入に踏み切った。同社がAI人工知能)を導入するねらいとは?AI導入に積極的な意欲を示し、自ら陣頭指揮を執ってプロジェクトを推し進めてきた石﨑順子社長にお話を伺った。

  1. 新しい技術や仕組みづくりが課題解決の鍵
  2. AIの導入により進化するナレッジ共有
  3. 業界を取り巻く課題をAIで変えていく

新しい技術や仕組みづくりが課題解決の鍵

― 御社には、弊社の情報共有サービス『ナレッジリング』を独自にカスタマイズして『ガリレオ』という愛称でご利用頂いております。

2009年頃に検討を始めて2011年に導入していますので、それから随分と経ちました。当時私は、そのプロジェクトのメインの担当役員という立場でした。それまでにもナレッジの重要性はずっと言われ続けていましたが、弊社の知識共有は、事業部全体の効率化・レベルの向上につながらない状態が続いていました。各支社に所属する担当者が数々の事例をもとに資料を磨き上げても、支社単位でのフォルダ内管理にとどまるなど、共有範囲もローカルであることが多く見られました。そんな中途半端な状態を変えていきたいということで全社の情報統合プロジェクトを立ち上げたんです。そこで私自らメンバーを選んで、実際に現場で使われている事例や資料以外にも、本部が日頃答えているQ&Aや定型の雛形・ルール集など、みんなが共通して使うものを一つにまとめ上げる作業に取り掛かりました。ナレッジ共有を進化させたいという思いでスタートしたのが『ガリレオ』なんです。

― 長く取り組んでいらっしゃるだけに、いろいろな局面を乗り切ってこられたのではないでしょうか。

当初は、良い資料に限らず、ユーザーが「これはいい」と思う社内の情報を自由に登録してもらうはずだったんです。そこからいわゆる「いいね」が増えて行けば、それが信用できる資料や情報になるという図式を描いていました。でもなかなか上手くいかなくて。情報が最新にアップロードされない、信頼性のある情報なのかユーザー側の精査が必要になるなど、結果的に本当の意味での知恵が集まっていない状態でした。一番の問題は、検索機能が上手く使えないということでしたね。ユーザーからは「本当に必要なデータに辿り着けない」という声がかなり多く寄せられていたんです。そのような様々な課題を解決するためにこれまで様々な工夫をしてきていますが、最終的にガリレオに登録されているデータの棚卸を行いました。資料や情報をカテゴライズして格納し、更に公式な情報なのかどうか仕分けもして、データを全部入れ直したんです。そのような作業をこれまでに何回か繰り返しているんです。

― そこで、そのような課題をAIで解決しようということになったわけですね?

そうですね。AIに限らず、新しい技術や仕組みを、弊社はもっと取り入れていく必要があると思っているんですね。なぜなら、労働集約型であるこのマンション管理業界を変えていかなければならないからです。AIなどの新技術を、既にある資源と組み合わせることで、業務のスピードアップや効率化が図られ、より高い品質でサービス提供ができるのではないかと。ですから、AI導入は、私が2016年10月に社長に着任して以来ずっと考えていたことなんです。そこに、長年お世話になっている御社のITコンサルタントからAIの話があったわけです。「AIの技術を提供出来ますが、いかがですか?」って。即答・即決でしたね。

― それが『Watson』だったと。その時点で、AIやWatsonについて知見はありましたか?

大和ライフネクスト株式会社 代表取締役社長 石﨑 順子 氏Watsonに関しては、既に…5年くらい前だと思いますが、Watsonの開発中、IBMの研修会に参加して概要は聞いているんです。当時はまだ商用化についての説明はありませんでしたが、「Watsonの技術がここまで来ている」という主旨の内容だったと記憶しています。その頃はビッグデータがトレンドで、そのタイミングでWatsonの話を聞いていますから、いずれ当たり前にAIを活用する時代が来るんだろうな、という予感はしていました。そんなこともあってWatsonは意識にありましたが、いざ実際にWatson導入のお話を頂いた時は、もうそこまで使えるようになったのかという印象でした。AI導入は大プロジェクトであって、まだまだコストが掛かると思っていましたから。しばらく先の話だと思っていましたので、こんなに手軽に導入することになるとは思いませんでした。そこから、Watsonで何が実現できるのか、御社のITコンサルタントに具体的なアドバイスを頂きながら進めてきたという感じはあります。Watsonをガリレオに組み入れることで、検索性が格段にアップする、ユーザーとインタラクティブにコミュニケートしながら情報を引き出せる、というイメージはお話を頂いた時点でありましたが、具体的な話が進むうちに確信しました。そもそも、ガリレオというベースがあるからWatsonを導入できるということだと思うんです。何もないところでは機能しませんからね。ただ、だからと言って、Watsonが自動的に社内の情報資産にアクセスして、自動的にこちらの望むような内容を提示してくれるとは思っていません。やはり人間がある程度の整備をして学習データをブラッシュアップしていかなければならないわけです。これがもう少し人間の手が掛からなくなるところまで進歩するといいとは思いますけど。

AIの導入に関しては、今回、Watson以外も選択肢としてはありましたか?

ガリレオ自体が御社のプロダクトであり、しかも導入時から継続的に運用面のコンサルティングを依頼しておりますから、事情をよく理解されていると思うんです。その御社のコンサルタントがガリレオを更に進化させるためにWatsonを提案されてきたわけですから、もうお願いすること以外は考えていませんでした。

AIの導入により進化するナレッジ共有

― Watsonと連携したガリレオの本格的な運用が2017年6月からスタートしていますね。

ナレッジの共有や活用については長年の懸案事項ですから、「今度こそ」という思いが強くあります。今までは、だんだんガリレオの利用頻度が下がってしまっていたので、その度に人手と時間をかけて棚卸をしてデータを整備する作業をしてきました。でもこれからは、日常的に利用されてなおかつ進化していくようなナレッジ共有ツールになってほしいと思っています。とは言え、全社的にナレッジ共有について高い意識があるかというと、まだまだというのが本当のところです。先程お話した情報統合プロジェクトの時には、管理側と利用者側とではナレッジ共有意識の温度差が顕著でしたし、個々人でもナレッジを積極的に共有しようという人とそうでない人に大きな温度差がありました。ですから、今回のWatson導入をきっかけに、社員全員一丸となって取り組む必要があるということを分かってもらわなければいけない。社内には全員で取り掛からなければならないほど膨大な資料やデータがありますから。

IBM Watsonと情報共有サービスの連携画面

IBM Watsonと連携したアプリケーション画面。質問するとおすすめの記事(ナレッジ)を提案してくれる。Watsonの回答精度に応じて4段階でアイコンが表示されるようになっており、視覚的にもわかりやすく表現している。

― 実際にWatsonの運用を開始してみて、どのような感想をお持ちですか?

道具は揃ったけれども中身がまだ、という状態ですかね。今は、Watsonによる検索性を上げるために学習データの整備をしている段階です。プロジェクトの担当者によれば、当初はやはりWatsonを導入したらそれだけでこれまでの課題が解決すると思われていて、今はそのイメージとのギャップに苦労しているようですね。実際、思った以上にデータの分析・分類を考える必要があり、学習データの作成作業も最初はなかなか進まなかったようです。ようやくベーシックなデータが揃ったところなので最適化はこれからですが、Watsonの精度を上げるために、各方面から情報収集をしてどのように学習データを整備すべきか検討を進める予定です。どのような手法や手段を用いるべきかは難題ではありますが、御社にもフォローしていただきながら進めていきたいところです。実際に利用が進めば、その過程できっと“気付き”があると思うんですよ。その結果をWatsonの学習データやガリレオのデータそのものにフィードバックしていくということです。今後はWatsonと連携したガリレオをいかに使いこなせるかどうかがポイントになるでしょうね。

業界を取り巻く課題をAIで変えていく

― ガリレオ以外で御社の業務でWatsonを活用したい分野はありますか?

正直、まだ分からないですね。どの分野でどのレベルまで活用できるのか、実際に判断するのは難しいと感じています。コールセンターなど問合せに対応する分野や、ガリレオのような社内ナレッジの共有などはイメージしやすいのですが、それ以外でのイメージは実は今のところありません。ただ、私たちのようなエンドユーザーありきの業種では、どうすればお客様にストレスなくサービスを提供できるのかを常に意識する必要がありますから、そのためにAIを活用してどのように効率化が図れるのか、これから探究していかなければならないと思っています。それと同時に、更にWatsonの導入効果を高めるためには、おそらく業務フローのあり方や情報管理の仕方に至るところまでも工夫していかないと進展しないとも感じています。更に立ち返れば、私たちのこのマンション管理業界は、まだまだ紙ベースの資料が多いんですよ。電子データとして蓄積されていない情報がたくさんあるわけです。AIとかWatson以前の話ですよね。既にある電子データの整理も含め、AIを活用出来ているという状態にしていくことが必須だと思います。

― 現場の意識改革も必要ですね。

本当の意味での効率化や生産性アップを考えるなら、新技術は必要です。その技術としてAIを活用できる世の中になってきたということは、仕事の仕方も変えていかなければなりません。まさに働き方改革ですよね。それに伴って情報に対する考え方も、自社の思想や哲学レベルで個人も変えていかなければならないんですよ。これまでの仕事をAIに任せても上手くいかなければ、どんな新技術を入れたところで上手くいかないと思いますので、真剣に取り組んでほしいですね。もちろん管理側からの利用促進も図りますが、自発的に取り組み方を改善できるようになることを期待しています。

― これがマンション管理業界初のAI導入事例となります。そのような立場から、業界における御社の今後の役割や発信するメッセージとは何でしょうか?

大和ライフネクスト株式会社 代表取締役社長 石﨑 順子 氏先ほども申し上げた通り、マンション管理業界は全体を通して労働集約型の仕事スタイルであり、様々な課題が取り巻いている業界です。ご存知の通り人材は不足していますし人件費は上がってきています。お客様からの要望も高くなってきている、高齢化・少子化も進んでいる、管理している建物も古くなる、といういろいろな状況の中で、やむを得ず人手をかけて対応しますが、そのコストをお客様に負担していただくわけにはいかないので人に頼らざるをえません。でもその状態から早く脱却しなければいけないんです。そのためにはやはりAIなどの新技術を駆使して、なおかつ異業種とも連携をして業務の仕組みを改革していかなければ、その先は無いとまで思っています。AIが何かと言われれば、人手に頼らないことの象徴がAIだと思います。例えば、コンビニ業界は無人レジ化を推し進めようとしていますし、宅配業界は配達時間を見直すなど、人手に頼らないことに着手していますよね。AIの導入はそれと同じ意味を持つと思うんです。AIを導入することは、自分たちの仕事を組み立て直すことであり業務の仕組み自体を変えなければいけない、ということを示しているのではないでしょうか。

― 御社の経営ビジョンに「Empathy」というキーワードがありますね。

コーポレートサイトでは、エンパシーとは「お客様への感情移入、お客様への共感・お客様感情の完全な理解を意味します。」と説明しています。将来的には、お客様を理解するのにAIを活用していく可能性はありますよね。AIに人間のいろいろな感情情報を与えて分析してみたら、意外な結果が出てくるかもしれないですよね。人間なんていい加減なもので、同じことを言っても感じ方は人それぞれですし、感情が入ると正しい判断が出来なかったりすることもありますが、冷静で客観的で感情が入らないAIの方が、もしかしたら正しい判断をするかもしれません。

― 最後に、御社の今後の展望について教えて下さい。

この先数年で関連会社を増やし、新しい事業を展開していく予定です。今までは、マンション管理事業が7割、それ以外が3割でしたが、これからは建物管理のみならず、どちらかというと総合生活支援サービスの枠組みに広げていきたいと思っています。それには少なくとも私たちの力だけで進めて行くことは難しいので、社会の人と結びつく、あるいは、社会の事業と私たちの事業を結びつけることが大事です。それらが更なるシナジーを生み出すためには最新技術を取り入れるべきだと考えますので、これからAIを取り入れる場面はたくさん出てくると思いますよ。技術の進歩によってお客様の潜在的なニーズの掘り起こしができるようになれば更に良いと思いますね。

― 我々も引き続きそのお手伝いが出来たらと思います。本日はありがとうございました。

社名 : 大和ライフネクスト株式会社
本社所在地 : 東京都港区赤坂5-1-33
設立 : 昭和58(1983)年3月8日 ※創業:昭和51(1976)年5月1日
資本金 : 1億3,010万円
従業員数 : 7,184名(平成29年3月31日現在)
事業内容 : マンション管理事業、ビル・商業施設管理事業 、建設業、警備事業、貨物利用輸送事業
コールセンター事業、損害保険・生命保険代理店事業、ケアサービス事業、教育研修事業、天然水宅配事業
ホームページ : http://www.daiwalifenext.co.jp/